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 国産材用途と性質
 
 

 木のいろいろ -針葉樹の話- 


木にもいろいろある
樹木の幹の横断面を見ると、いちばん外側に樹皮があり、
その内側に柔らかい形成層という環状の組織があります。
形成層は、細胞分裂をして内側に向かっては木材えおつくり続け、
外側に向かっては樹皮をつくっていきます。このような植物を木本植物と呼びます。
木材を私たちに与えてくれる植物は木本のものに限られます。
世界中には、数えきれないほど沢山の木本植物があり
、高さが数十メートル、直径2メートルを超えるようなものから、人の背丈に達しないものまであります。
人間は自分たちの生活に合わせ、周囲にある使いやすい木材を求め、工夫をして使ってきました。
日本で建築の骨組みに使うのは、スギ、ヒノキなどを主とする針葉樹の木材で、
ヨーロッパで伝統的に同じような用途に使われているのは広葉樹のオークです。
しかし最近では加工技術が進み、どんな樹種でも工夫しだいで使えるようになってきました。

木の見分け方
 木材は生物である樹木の体に相当する部分です。
したがって、いろいろな種類の組み合わせで成り立っています。
樹種によって、この細胞の組み合わせやおのおのの配列、大きさが少しずつ違い、
一般的に関係の遠い樹種ほどその違いが大きくなっています。
針葉樹には道管がなく、広葉樹にあるいはそのよい例です。
非常に大きな違いなので、少し慣れればすぐに見分けることができます。
木材の見分け方は、このような点に着目して、細胞の大きさや組み合わせなどの組織を観察
(肉眼、虫眼鏡、光学顕微鏡、ときには電子顕微鏡で)し、その違いを見つけだすことが基本になります。
自信をもって決定するためには、最後に標準となる木材標本と比較します。
この作業をより円滑に正確にするため、道しるべとして識別のための検索表がつくられ、
最近では検索カードや、コンピューターの利用も行われています。
このほかにもどちらかといえば、組織観察の補助的な意味で使われるいくつかの見分け方があります。
例えば、臭い(臭い:チーク、甘い香り:ローズウッド、強い香り:クスノキ、カブールなど)、
味(主として苦み:ニガキ)などの利用があります。
また小さい材片を燃やしたかすが炭になるか灰になるか、さらに材片を水の入った試験管に入れて
振盪すると泡が出て消えないもの(サポニンを含んでいる樹種)、消えるものがあることを使ったりします。
よく似た種類は、微量な成分の違いをガスクロマトグラフィーで見分けることもあります。

木の使い方
 『日本書記』には「ヒノキを宮殿に、スギとクスノキは船に、コウヤマキは棺材に・・・・」と書かれ、
それが日本の木材の適材適所について触れた原点とされています。
歴史的にみると、木材の使い方は、身近にたくさんある、使いやすい、特徴的な性質があるなどが
基本となっているようで、三つの条件のうち一つ二つが欠けても、
それを満たすなんらかのほかの理由があれば、やはり使われています。
 日本では、ヒノキ、スギなどが比較的身近にあったことから注目され、かつ上述のほかの二条件にも 
かなっていたので使われるようになったのでしょう。使用量が増えるにつれて、
その産地を追って遠くまで集めにいくようになりましたが、輸送能力や経済性の限界を超えるようになると、 
近くの山々に造林するようになり、日本の重要な造林樹種となっています。
 広葉樹の場合、クリは強度と耐久性そして果実が食用になることもあり、生活に密着していたため、
よく家の柱や土台に使われました。カシ類は固くて折れにくいのでクワやスキなどの柄に、 
トチノキは加工しやすいことから、今日でも本針や菓子器などの日用品に使われています。 
ブナは蒸気で加熱すると曲げやすくなるので、椅子などの曲げ木家具用材になります。 
 国内に生育していなくても、その樹種に高い需要があれば高価になり、遠くから運んできても使います。
唐木(シタン、コクタン、カリンなど)は材面が美しいので楽器、家具や内装用などに輸入され、 
珍重されています。極端な例としては目方で取引されるリグナムバイタがありますが、この木は世界で 
最も重硬で特殊な成分を持つため、船舶のスクリューのベアリングとして使われています。
最近は、用途に最も適した木材を入手することが困難になりましたが、 
格段に進歩した加工技術で、入手しやすい木材に、必要な性質を与えることが可能になりました。
それでも天然の産物が持つ本来の魅力を超えることはできないでしょう。

スギ-スギ科-
 ヒノキと並んで、日本の代表的な樹木です。その木材も幅広い人気があり、
最も多く使われているものの一つです。スギとヒノキを比べると、
スギはどちらかというと大衆的な木材で、それだけに一般の人々によく知られ、親しまれています。
登呂(静岡県)の遺跡には田の畦道に、大きなスギの板が無数に使われていました。
道具も十分にない時代には、このような板は丸太を縦に割ってつくられました。
スギ材は早材部と晩材部の差が大きいので、その間で割りやすいからです。
この加工しやすい性質があるために、昔から生活に必要な
いろいろな器具や道具が、スギでつくられてきました。
 スギはかつては青森県南部から本州一円、さらに四国、九州の屋久島まで分布していました。
少なくはなりましたが、今でも秋田、立山(富山県)、芦生(京都府)、
愛鷹山(静岡県)、魚梁瀬(高知県)、屋久島などが天然に分布する地域としてよく知られています。
今では北海道南部以南の各地で植えられているので、少し都会を離れるとスギ材はどこででも見られます。
木材は、軽軟ないしやや軽軟、平均気乾比重は0.38です。このことが加工する際に
大きな利点となってます。 スギには、一般住宅の建築、家具、桶、樽、電柱、割り箸
(板などを取った残り)、折り箱、建具などの材料として広い用途があります。
高級家具、天井板など装飾用に使われる高齢の天然スギはたいへん高価です。
また樹皮を剥いだ丸太を乾燥し、表面をきれいに磨いた磨き丸太は床柱に使われます。

ヒノキ-ヒノキ科-
 スギとともに日本を代表する樹種です。
当時の道具では加工が難しかったためか、芳香があり、光沢もあって美しいためか、
我々の祖先もヒノキを高級材として扱っていたようです。
スギと比べ木材の色が淡く、清浄感があり、
材質が精緻なため仕上がりもよく、そのうえ耐朽性も高いので神社、
仏閣、宮殿などの建築に用いられました。このことがヒノキの評価を高め、
「総ヒノキ造りの家」が豪華な家の代名詞として使われるようになりました。
ヒノキは福島県南部以南の本州の全域、四国、九州、屋久島に分布しています。
古くから植えられていて、面積、木材、の量もスギに次いでいます。
天然材としては木曽、高野山、高知県西部にあるものが有名です。
心材の色は淡紅色で、辺材は白く木材のなかでは淡色の方です。
年輪ははっきりしていないので木の肌は精緻で、特有の芳香と光沢があります。
これらのことが、スギとは使い方の上で大きな違いが生じた原因と考えられます。
ヒノキはやや軽軟で、平均気乾比重は0.44です。心材は腐れに対して抵抗性が高く、
水や湿気によく耐えます。また刃物での仕上がりがよく、彫刻の材料として好適です。
用途は広く、建築・建築装飾材、建具、彫刻などのほかに木型、曲げ物、桶、スライスドベニヤ、
変わったところでは蓄電池のセパレーターの材料として使われています。

アカマツ-マツ科-
 アカマツはわが国ではスギ、ヒノキ、カラマツに次ぐ重要な造林樹種です。
アカマツの林と縁の深いのはマツタケですが、近年めっきりと生産量が減っています。
マツ類の木材は、日常生活のなかで、産地に近い地域以外では
我々の目に触れることはほとんどありません。その理由は、
一般にマツ類の木材は幹が通直でないために、人の目に触れないような用途、
たとえば住宅では表に出てこない梁などに使われているためです。
目に触れる所としては敷居とか床板に使われることがありますが、いずれも少量です。
本州全域、四国、九州、屋久島に分布しています。乾燥地や養分の少ない土地にも耐え、
陽光を好むので、森林を伐採した跡などの裸地に自然の芽生えがよく見られます。
里山のマツ林はこのようにしてできたものが多いといわれています。
また、ほかの樹種に向かない土地に植えられることが多いので、
マツノザイセンチュウの被害で少なくなったとはいえ、よく見かける樹木です。
心材の色はやや黄色を帯びた淡い色から、かなり赤褐色を帯びるものまであり、
辺材は淡黄白色です。早材と晩材の違いは明瞭で、年輪もはっきりしています。
針葉樹のなかでは重硬なものの一つで、平均気乾比重は0.52です。
注意を要することは、仕上げてからも樹脂が表面に出てきやすいことと、
伐採後青変菌の汚染を受けやすく、材面が汚くなることです。
用途は建築用のほか、水中にあるときには保存性が高いので、
基礎杭などの土木用材になります。ほかに径木、薪(火力が強いので陶器や瓦の製造用)
などにも使われます。また技術が進歩してパルプ化が可能になってからは、
重要な原料として大量に使われています。

カラマツ-マツ科-
 落葉松とも書かれるように、日本産の針葉樹のなかでは唯一の落葉樹です。
信州や北海道の景色として忘れられないものの一つでしょう。
大都市に住む人々は、この木の名前や樹形は記憶にあっても、
木材というと「どんな?」と首をかしげる人が多いのではないでしょうか。
信州では古くからカラマツを建築用材に使っているので、注意すれば
カラマツを柱に使っているのが見られます。しかしスギ、ヒノキが得やすい地域では
なじみがないことと、木材が重硬で加工しにくい等の理由であまり利用されていません。
分布は、信州を中心とする本州中部に限られており、海抜1.000メートル前後の
温帯上部から亜寒帯にかけて見られます。
しかし、ほかに適当な造林樹種で、スギ、ヒノキに次ぐ面積があります。
心材の色は褐色ないし赤褐色で、白色の辺材とは対照的です。
早材と晩材の違いが大きく、年輪ははっきりしています。
木の形はどちらかというと女性的ですが、日本産の針葉樹林のなかでは重硬で、
平均気乾比重は0.50です。若い造林木はねじれなど狂いが出ることもありますが、
ある程度の年輪に達すれば建築その他に使えるといわれています。
またカラマツが好まれなかった理由の一つに、仕上げてからも樹脂が材面に出てくることがあげられ、
そのため建築材としては表面に出るような所には使わず、
土台、棟木、母屋角などに使われるか、坑木や矢坂などの土木用材、
ダンネージなどに使われ、野菜箱、坑などにも使われます。
最近では乾燥による樹脂固定の技術が進んできたため、用途も広がっています。
構造用集成材にして、大型建築物に使われるようになりました。

ヒバ(アスナロ、ヒノキアスナロ)-ヒノキ科-
 アスナロは関東以南の本州、四国、九州の山地に分布する樹木です。
ヒノキアスナロの変種で、北海道南部から東北地方にかけて分布します。
木材はヒバの名で一括して取り扱われています。
ヒノキアスナロは、日本三大美林の一つである青森のヒバ林で有名ですし、
アスナロは木曽の五大の一つとしてよく知られています。
また、東北から能登半島に移入されたといわれるヒノキアスナロはアテと呼ばれ、
輪島塗の木地としてよく知られています。
ヒバ材は産地以外であまり使われていませんが、たいへん優れた性質を備えています。
材質はやや軽軟で平均気乾比重は0.45、心材と辺材の色の差はあまりなく、
淡黄色をしています。早材から晩材への移行はゆるやかで、年輪はあまりはっきり見えません。
ヒバの特徴としては、強い匂い(芳香とはいいにくい)があること、
心材部分の耐朽性が高く、水湿によく耐えることなどがあげられます。
用途は建築(平泉の中尊寺はヒバで建てられています。産地の木材が利用されたよい例です)、
家具、建具、漆器の木地、土木用材などがありますが、耐朽性が高いことを利用した土台は定評があります。
ヒバには抗菌性があるヒノキチオールが含まれていて、各種の薬品などに使われていますが、
一時、養毛剤の有効成分として盛んに宣伝されたこともあります。
ヒノキチオールは、もともとタイワンヒノキから発見された成分ですが、
日本産の樹種ではヒノキにはなく、ヒバに含まれています。

エゾマツ-マツ科-
 日本には数種類の仲間が生育していますが、木材として大いに利用されるのはエゾマツだけです。
名前は知られていても、北海道以外では木を見ることも木材を使うこともあまりない、
なじみのうすい樹種ですが、北海道ではエゾマツはトドマツとともに
豊富に生育していたので、主要な建築材として使われてきました。
林業・林産業界では、エゾ・トドと呼んで一括して取り扱うのは、このような背景があるからです。
また北海道には大規模なパルプ・製紙工場がいくつもありますが、
これは開設当時にパルプ化の比較的容易なエゾ・トドが大量にあって、原料の心配がなかったからです。
木材は心材と辺材の色の差があまりなく、どちらかといえば白い近い色をしています。
注意すると、かすかに絵の具の匂いがするのがわかります。
早材から晩材への移行がゆるやかなため、年輪ははっきりしません。
材はやや軽軟で、平均気乾比重は0.43です。材面はかなり精緻な感じで、
耐朽性は高くありませんが、加工しやすく、仕上がりもよい材です。
用途は建築、建具、音響性のよさを利用した楽器、木毛、食料品箱の材料などと広く、
特に北海道では建築材として重視されています。また最近では、
大断面の集成材に加工され、大型構築物の梁などとして利用されるほか、
たぶん新カヤなどと呼ばれて基盤にも使われています。

トドマツ-マツ科-
 トドマツとマツがついているので、マツ類かと思いがちですが、
モミの仲間です。木材もモミによく似ています。
トドマツはエゾマツと並ぶ北海道の代表的な樹木で、両樹種とも道内ではどこででも目につきます。
トドマツの樹皮は平滑で、エゾマツの樹皮はアカマツのような鱗片状をしているので、
丸太が混在しているときでも簡単に区別できます。
心材と辺材の色の差はほとんどなく、全体にほぼ白色です。
早材から晩材への移行はかなり急で、そのため年輪ははっきりしています。
したがって木材は肌目が粗く、やや軽軟で平均気乾比重は0.40です。
また材は割りやすく、乾燥、切削加工も容易です。パルプ用材といても優れているので、
エゾマツとともによく使われています。
北海道には、苫小牧市などを初め大きなパルプ・製紙工場がいくつかありますが、
エゾ・トドの存在なしには考えられなかったはずです。
日本の紙・パルプ工業の出発点となった樹種として、忘れられないものです。
紙・パルプの製造技術は、つくりやすいエゾ・トドからスタートしてアカマツ・広葉樹も原料とするようになり、
現在では熱帯産の広葉樹も原料として使えるまでに発達しました。
パルプ用材のほか、建築用材として広く使われており、
土木用材、包装材、造作材、割り箸、まな板にも使われています。
トドマツは北海道では用途が広く、エゾマツとともに重要な造林樹種となっています。

モミ-マツ科-<
 モミは比較的温かい地方の低い山にも生えている木ですから、
東京でも高尾山に行けば見ることができます。
尾根に近い所に枝を斜め上に伸ばしている姿はなかなか立派です。
モミの仲間は日本には5種あり、生育環境によって違いがありますが、
それぞれがほとんど同じような淡色の木材です。
モミはスギやヒノキに比べると小数派の木材で、一般にはあまりなじみがありません。
天然には、東北地方中部から南の本州一円と四国、九州に分布し、屋久島にも見られます。
木材の色はほぼ白色で、心材と辺材の色の差はわかりませんが、
早材と晩材の違いははっきりしていて、年輪はよくわかります。
このため、材の表面はやや粗い感じがします。軽軟で平均気乾比重は0.44、耐朽性は低い木です。
日本では木材は芳香がないと低く評価されますが、モミの特徴は匂いや味がないことです。
この特性を生かして、かなりの量が使われているものに蒲鉾の板があります。
匂いがない、食品だから色の淡い方がよい、現在のところ使い捨てになることが多いので
安価でなければならない、という条件にはモミはピッタリです。
ほかに白くて安い材料ということでよく使われるものに、卒塔婆があります。
墓地に行くとお墓のかたわらに、墨痕鮮やかな白地の細長い板が立てかけられるのを見ます。
あれは本来はモミの板なのです。良質のものは住居の造作、建具などに使われ、
また匂いがないので保存用の箱(素麺、雛人形、茶道具、茶などの箱)、
神楽太鼓の胴などにも使われることです。

ツガ-マツ科-
 日本語のツガが学名になった珍しい例です。
かつては、「栂普請」という言葉を見たり、聞いたりしましたが、
これはツガの材質のよいものを選び、家を建てることを贅沢と考えていたからです。
最近では住宅建築に使われるのは、まず珍しいと考えてよいでしょう。
分布は、関東以南の本州一円、四国、九州さらに屋久島に及んでいます。
植栽は行われていないので、天然林の減少とともに木材が目に触れることも少なくなっています。
心材と辺材の色の差は少なく、材色は少し紫色を帯びた淡桃褐色で、
針葉樹林の色としてはかなり特殊なものです。注意すると、
白いチョークの粉をまぶしたような部分が、鉋がけした材面に見えることがあり、
これに気づくとツガをほかの木材と区別するのは容易です。
この現象は、フロコソイドという有機物によって起きるツガ属の木材に共通の特徴です。
材質は針葉樹としては重硬で、平均気乾比重は0.50です。早材から晩材への移行は急で年輪ははっきり見えます。
一般に天然生の木は成長が遅いので年輪幅が狭いことが多く、それだけ化粧的な価値が高くなりますが、
ツガ材の場合も年輪幅が非常に狭くて、材面が美しいものを糸柾と呼んで古くから珍重しています。
また、かつては木造の建物がネズミに齧られることがあったようですが、
ツガにはその害が出にくいといわれ、その点からも建築材として好まれたようです。
用途は建築材(柱、長押、鴨居)のほか、器具・包装材、車輌材、パルプ材などです。

ヒメコマツ-マツ科-
 マツといえば、アカマツ、クロマツを思い浮かべ、ヒメコマツの名前はすぐには出てきません。
同じマツの仲間でも、アカマツ、クロマツは二葉でヒメコマツは五葉ですから、生きている木は葉を見れば
すぐに区別できます。盆栽好きの人ならば、この木の変種である
ゴヨウマツの名前はよく知っているように、一般には盆栽や庭木として有名です。
ヒメコマツは北海道、本州北中部に分布し、ゴヨウマツは本州中南部から四国、九州、対馬に分布しています。
木材は、アカマツ、クロマツとは異なり、早材から晩材への移行がずっとゆるやかで、年輪もはっきりしません。
心材は淡黄色、辺材は白色で差があります。平均気乾比重は0.45で、ヒノキと同じようなものです。
肌目が精緻で、加工しやすく、仕上がりもたいへんよいので、鋳物の木型や彫刻の材料に適していますが、
もともとたくさんある木ではないので、最近では使われることが少なくなっています。
ロシアから輸入される五葉松のベニマツが材質的にも似ているので、
ほとんど同じような用途、特に木型用材にはよく用いられています。
このほか、ピアノの響板としてエゾマツ、アカエゾマツに四滴するといわれています。
建具、器具、建築(敷居、鴨居)などにも用いられています。  

ベイマツ(ダグラスファー、オレゴンパイ)-マツ科-
 北米から木材が大量に輸入されるようになり、貿易問題等でマスコミにたびたび取り上げられるようになったため、
一般には米材が突如出現したように錯覚されがちですが、米材輸入は明治時代から始まっています。
ベイマツが輸入され始めたころは、オレゴンパインとかメリケンマツと呼ばれており、
ベイマツという呼び方が定着したのは大正時代からです。
ベイマツというとアカマツを連想したり、ダグラスファーという現地名を聞くとモミ類かと思ったりしますが、
植物分類上はトガサワラ(四国などごく一部の地域にだけ分布しています)と同類の木です。
カナダのプリティッシュコロンビア州から太平洋岸沿いに、南はメキシコまで、
さらにロッキー山脈にも広く分布しています。 心材は赤色または黄色を帯び、辺材は白色です。
早材から晩材への移行は急で、年輪ははっきり見えます。肌目は粗く、材は重硬で平均気乾比重は0.55です。
大きい材が得られることと強度があることから、アメリカ西部でも構造材としての利用が盛んで、
日本でも長い梁として使われています。このような利用は今に始まったことではなく、
関東大震災の復興のためにベイマツが大量に輸入され、住宅建築に使われました。
古い家屋の梁などにベイマツを見つけることができるはずです。現在も建築中の住宅で、
赤みがかった大きな梁が使われているのを見ます。これは大抵はベイマツで、
日本の住宅には欠かせないものになってしまっています。
そのほか土木、車輌、建具、家具、船舶など広い用途があります。
米国では合板用材として使われ、住宅の壁に大量に使われています。日本にも製品が輸入されています。

ベイツガ(ウエスタンヘムロック)-マツ科-
 北米から輸入されている木材としては、ベイマツと双壁をなし、
丸太、製材品ともに日本の住宅建築に欠かせないものになっています。
大都市のごく一般の住宅建築には国産のスギではなく、このベイツガの柱が使われることが多いようです。
スギより価格が低いことがベイツガ利用の大きな理由のようですが、スギのような匂いがなく、
新しい材はスギよりずっと白いのでそれを好む人もあり、スギの強力なライバルになっています。
太平洋地域をアラスカ南部からブリティシュコロンビア州、さらにワシントン州西部から
カリフォルニア州西武に分布しています。木材の色は白に近い、やや紫色を帯びた淡桃褐色がかっています。
日本産のツガよりずっと淡色です。心材と辺材の色の差はほとんどありません。
日本のツガに似ていますが、現在輸入されているものは年輪幅が広いので、
ツガの糸柾のような材面は期待できません。平均気乾比重は0.46で、ツガよりは軽軟です。
ベイツガは樹脂が表面に滲み出てくる懸念がなく、どこにでも使える利点があります。
建築材としてスギと完全に重視する広い用途があり、
特に柱材および保存薬剤を注入した土台としての利用が目立っています。
 そのほか、箱材、木枠、道具類などにも使われます。
なお、業界では、低価格で材質の差が少ないベイモミと一括してヘムファーと呼ぶこともあります。

ベイヒ(ピーオーシーダー)-ヒノキ科-
 ベイヒが日本で使われ始めたのは、明治30年代です。当時輸入されたベイマツに混じっていたのを、
材木商がたまたま見つけてヒノキの代替品にしたのが始まりのようです。
本格的に輸入され出したのは、大正時代の中ごろ以降です。
米国では、ベイヒを日本のヒノキのようには高く評価していなかったので、
市場材として取り上げたのは日本が最初のようです。
分布は狭く、オレゴン州南西部からカリフォルニア州北西部に見られます。
植物分類上はヒノキの仲間で木材も似ていますが、材色が若干濃いことと、
ヒノキと同系統ばがら強烈な芳香があるところが違っています。
これを使っている建築現場周辺では、かなり離れた所でも匂うのですぐそれと分り、ヒノキとは容易に区別できます。
ヒノキに比べ価格が安いため、代替材として日本で大量に使われていた時期もありましたが、
このごろは資源的制約からか、東京近辺ではあまり見られなくなりました。
心材の色は黄白色から淡褐色で、辺材との差ははっきりしないことが多いようです。
早材から晩材への移行はゆるやかで、年輪はかろうじて見える程度です。
したがって、肌目は精緻で平均気乾比重は0.47とやや軽軟です。ヒノキと同様に加工や乾燥もしやすく、
強度も同等で、耐朽性にも富むので、ヒノキの代替建築材、船舶ヤボートの構造林、指し物、木枠、
衣装箱、蓄電池のセパレーターなど広い用途があります。

ベイモミ(ファー)-マツ科-
 Abies concolorは米国ではホワイトファーと呼ばれますが、そのほかにノーブルファー(A.procera)、
グランドファー(A.grandis)、レッドファー(A.magnifica)などがあります。
なかでもノーブルファーは材質が優れているとされ、高く評価されています。
それで他の樹種も、商業的にはノーブルファーとして取り扱われている可能性があります。
しかし、いずれにしても他樹種に比べ評価は低いので、安価だけが売り物のようです。
またヘムファーという呼び方で、ベイツガと一括して取り扱われることが多いようですが、
その場合ベイモミの方が低く評価されることが多いようです。
ベイモミ類は、樹種によって異なりますが、アラスカから北米西海岸沿いにブリティッシュコロンビア州、
ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州など広い範囲に分布しています。
評価の高いノーブルファーはワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州の北部の主に太平洋側に分布しています。
材は白色から淡黄褐色、淡黄色を帯びていて、心材と辺材の色の差はほとんどありません。
ベイツガと一緒に製材品が積み上げられているようなときには、
ベイモミの方がより黄色みを帯びて見えるので、少し慣れれば簡単に区別できます。
匂いはほとんどなく、材はやや軽軟で気乾比重は樹種によって異なり、0.37から0.50の範囲です。
強度も 耐朽性も高くありません。用途は建築、建具、器具、箱、包装用材、サッシ、ドア用材、パルプ用材などです。

ベイヒバ(イエローシダー)-ヒノキ科-
 ヒバという名前になっていますが、日本のヒノキの仲間です。
このように呼ばれるようになったのは、新鮮な木材はヒバのような強い匂いがするからです。
このような強い匂いは産地の国々では好まれなかったようですが、日本ではよく似たものがあって
抵抗が少なかったためか、常に一定量輸入され利用されています。
アラスカ南東部からブリティッシュコロンビア州、オレゴン州を経てカリフォルニア州の北部に及ぶ
太平洋岸地域に分布していますが、資源量はそれほど多くありません。
心材と辺材の色の差は少なく、淡いがかなり鮮やかな黄色を帯びています。
早材から晩材への移行はゆるやかで、年輪ははっきり見えません。
成長が遅いため年輪幅は狭く、肌目は精緻です。平均気乾比重は0.50で、やや重硬な木材です。
耐朽性が高いため、日本では主として建築、特に土台用に使われます。
米国では木型、指し物家具のほかボート、測量ポールなど屋外用のものに使われているようです。
また日本のヒノキと同様、蓄電池用セパレーターとして最良のものとされています。
古い文献によると、ベイヒバはかつて米国から大量に中国へ輸出されています。
しかもそれがインドなどから輸出され、世界の市場で有名なサテンウッド
(広葉樹材:黄色の光沢、芳香があり、彫刻、指し物、キャビネットなどに利用)の代用だったとのことです。
用途を考える上での参考になるでしょう。

ベイスギ(ウエスタンレッドシーダー)-ヒノキ科-
 ベイスギという名前がついていますが、日本のネズコ(主に本州北〜中部、四国に生育)の仲間で、
ベイスギの名称は、木材の色がスギに似ているところから材木屋さんがつけたものです。
記録によると、北米から最初に商業的な木材輸入が行われた明治17年に
東京の木場に入ってきたのは、このベイスギだった秋田杉と競合したようです。
北米では、いろいろな像を彫り込んだトーテムポールがありますが、ベイスギはそれに使われる木材の一つです。
これはベイスギが非常に耐侯性が高く、屋外で長期間もつからで、
これをつくり初めた人は、この木の性質をよく知っていたということでしょう。
また米国ではこの性質を利用して、薄く割って屋根板として用いてきました。
この木にシングルウッド(屋根材)ともいう名がついているのはそのためです。
アラスカから太平洋岸沿いにカリフォルニア州北部までと、内陸にもアイダホ、モンタナ両州に分布しています。
心材の色は濃い赤色で、部分的には黒ずんだ黄褐色部分が現れることがあります。
辺材との色の違いがはっきりしています。色が均一でないことがこの木の欠点で、
用途によっては漂白してから染色することも行われているようです。
年輪はかなりはっきりしていて、肌目はやや粗です。針葉樹としては軽いほうで、平均気乾比重は0.39です。
加工もしやすく耐侯性は抜群です。
屋根、天井板、外壁、温室などの建築用材や建具、集成材にも使われています。

ベイトウヒ(シトカスプルース-マツ科-)
 北米には数種のトウヒ類がありますが、量が多く代表的なものがシトカスプルースです。
日本の市場に入ってくるスプルースには、北米材のほか、
ロシアから輸入される日本のエゾマツと同じものがあります。
ロシアからのものは、主として北海道、東北から山陰までの裏日本に荷揚げされ、
北米のものは太平洋岸の各地に向けられ、好対照となっています。
シトカスプルースは、グライダーの骨組として使われています。
これは年数を経たシトカスプルースは材質が均一で加工しやすく、強度的にも優れていることを表しています。
しかし最近輸入されているものは、樹齢も若くなり、成長もよいため、材質は以前と違ってきているようです。
その名が示すように、アラスカのシトカ地方が産地として有名で、ここから太平洋岸沿いに
カリフォルニア州まで分布しています。ほかのスプルースが辺材と心材の色の差がなく白色なのに、
シトカスプルースは心材の色が淡桃褐色なので区別ができます。
しかし樹齢が若いと辺材の白い部分が広くて、わかりにくいかもしれません。
早材から晩材への移行はゆるやかで、年輪はあまりはっきりとしていません。
肌目は精緻で、平均気乾比重は0.45ですが、その割合には強度のある木です。
乾燥・加工もしやすく、仕上がりも良好です。
製材、単板、パルプ用など広範な用途があり、製材品は根太、垂木、間柱などの構造材に、
また良質のものはボートのオールやマスト、グライダーの骨格、ピアノの響板などにも使われています。

ロッジポールパイン(ブラックパイン、スクラブパイン)-マツ科-
 ロッジポールパインは文字通り本物の北米産のマツです。
ベイマツという名前の木が大量に輸入されているので錯覚を起こしそうですが、
ベイマツは本物のマツ類ではありません。日本に少量しか輸入されていない本物のマツ類のうちで、
ロッジポールパインが最近目立つようになりました。
木材貿易が始まってから何十年も経って急に増えるのは珍しいことです。
ノッティパイン、スプルースパイン、ジャックパインなどの別名があります。
分布はアラスカから南に太平洋岸沿いと、ロッキー山系の内陸部まで広い地域に広がっています。
生育地ではかつていインデアンが小屋(円錐形をしており、ロッジポールの名前の由来とみられる)用の丸太
や橇に使ったといわれています。心材は淡黄色から淡黄褐色で、辺材はやや黄色味を帯びる白色ですが、
色の差はあまりはっきりしません。
平均気乾比重は0.47で、マツとしてはやや軽軟で加工しやすく、強度はやや低いといえます。
またマツ類に共通することですが、仕上げのあとで樹脂が滲みでてくることがあるので、利用範囲は狭くなります。
用途は製材、パルプ材、杭木、枕木などですが、建築用としては、土台、垂木、梁が主でしたが、
最近では壁や床材、造作材としても使われているようです。

ラジアータマツ-マツ科-
 ラジアータマツは、日本に輸入されている針葉樹としては、珍しい人工材林(人手で植え育てた木)です。
最初はニュージーランドから輸入されていましたが、その後、チリからも大量に入るようになったので、
ニュージーランドマツとチリマツという呼び方もあります。
原産地は米国カリフォルニア州のモントレー郡を中心とする地域と、南沖合いのグアダルペ島などです。
米国では木材としての知名度が低く、話題にもならなかった木がニュージーランドで植えつけられたところ、
大変よく成長したため、引き続いて植えつけられて、現在では100万ヘクタールを超える規模に達しています。
今日でも、ニュージーランドの造林木の9割以上はラジアータマツです。
このほかオーストラリア、チリ、南アフリカなど南半球の温帯で植えつけられています。
敵地に植えつけられたものは、成長が早く20年で高さが30メートル、幹の直径が50センチに達するといわれています。
現在輸入されているものは、若い時期の成長がよすぎて年輪幅が広くなりすぎ、
また枝打ちをしていないため大きな節があります。
それがラジアータマツ材の特徴とされ、あまり高い評価を得ていません。
しかし最近は、材質向上のために育林技術の改善が進められ、
一方では、このマツの特性にあった加工技術の開発が進められています。
心材は淡褐色、辺材は淡黄白色で色の差はあまりはっきりしません。平均気乾比重は0.49です。
産地国では製材、合板、削片板、繊維板、パルプに用いられ、
良質な製材品は構造材、床板、羽目板などに加工されています。
日本では、内部造作材を中心に建築材、パレット、木枠、箱材、割り箸などに使われています。

アガチス(アルマシガ、カウ)-ナンヨウスギ科-
 アガチスという名称は、属名をそのまま借用したものです。
名前が聞きなれないうえに、葉は針葉でも鱗片状でもなく、
東南アジアからニューギニアを経て太平洋諸島に分布しています。人工で増やす試みも行われています。
木材を見てみると、針葉樹特有の年輪が見えないので、広葉樹と思う人が多いでしょう。
しかしほかの針葉樹と同様、道管がないことが、識別する手がかりになります。
辺材は淡灰褐色、心材は桃色を帯びた淡灰褐色ないし淡黄褐色などで、産地による変動が大きいようです。
辺材と心材の色の違いもはっきりしません。平均気乾比重は0.48でやや軽軟です。
この材の特徴は、肌目が精緻で、いくらか狂いの出る傾向はあるものの加工もしやすく、
仕上がりも光沢があってよいということです。 耐朽性は、産地によって違うともいわれます。
ナンヨウヒノキ、ナンヨウカツラの別名もあるくらいで、日本産のカツラやシナノキと同じような用途によく使われます。
家具の引出しの側板に使われていたカツラの代替材として、「新カツラ」と銘を打って大量に使うようになりました。
また、緑甲板に使って「ナンヨウヒノキ」と呼んで売り出したりもしています。
具のほか建具、模型、将棋盤、鉛筆、玩具、額縁、合板、集成材など広い範囲に使われています。

 


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